2018年9月25日火曜日

情報レシオとは

本(計量アクティブ運用のすべて―その理論と実際)を読んでいたら少し面白い内容があったのでご紹介します。(理解が浅いので間違ってるところがあるかもしれません。)

アクティブ運用の評価に使われる情報レシオ(IR = Information Ratio)というもので、これを使うとある賭け事がどのくらい自分に有利なのかを定量的に表すことができます。

情報レシオはリターンの平均をα、リターンの標準偏差をリスクωとして、ωに対するαの比率となります。 \[ IR = \frac{\alpha}{\omega}\ \] リスクに対してどれだけリターンがあるかを表しています。評価の目安は下の表のようになるらしいです。
    
情報レシオの水準 運用成績の評価
0.8以上 非常に優秀な成績
0.3~0.8 とてもよい成績
0~0.3 よい成績
また、情報レシオは次式でも求めることができます。 \[ IR = IC\sqrt{BR}\ \] ここでICは情報係数(スキル:Information Coefficient)で、情報係数はアクティブ・マネージャーのスキルの尺度となります。優位性の大きさと考えてもらってよいです。情報係数はペイオフレシオ(利益平均額を損失平均額で割った数値)をr、当たる確率をpとした場合、 \[ IC = (r+1)p - 1 \] となります。ちなみにこれはoptimal fを求める式の分子と同じです。 \[ f^* =\frac{(r+1)p-1}{r} \] また、BR(ブレス:Breadth)は独立した賭けの数などの数を意味しています。つまり情報レシオはスキル(どれだけ優位性があるか)と試行回数で決まります。

これだけだとよくわからないと思うので、本にのっていた例も紹介します。

0と00、1~36の数字があるルーレットを使い、ここでは赤(0と00はハズレで、残りは赤と黒の半分に分かれている)に賭けを行うと仮定します。賭けの仕方は①200万円を一度に賭ける、②2円を100万回賭ける、の2通りである場合、どちらがルーレットの親にとってどれだけ有利であるか?を考えてみます。

①200万円を一度に賭ける場合

ルーレットの親が勝つ確率は20/38=56.63%、ペイオフレシオは1なので \[ IC = (1+1) \times 0.5663 - 1 = 0.0526\\ IR = 0.0526 \times 1 = 0.0526 \] となり、あまり魅力的な投資機会だとはいえない、となります。

②2円を100万回賭ける場合

この場合、200万円を1回賭ける場合に比べて、ブレスが1回から100万回まで大きく増えているためICは同じ0.0526ですがIRは \[ IR = 0.0526 * \sqrt{1000000} = 52.6 \] と52.6まで上昇し、①と比べて非常に魅力的な投資機会といえます。

投資においてはより高い情報レシオを得ることが重要な要素の一つになります。試行回数を増やすのはスキルを上げることよりも難易度が低いため、まずはある程度のスキルをもって試行回数を増やし、その間にスキルの向上を図るのがお金を増やすための良い戦略の一つになるかと思います。ただし、試行回数を増やすとコストが増し情報係数(スキル)が低下する傾向にあるため注意が必要です。

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